冷水を浴びせられ 罵倒され 
体を引き裂かれて育った私
家しか知らない私は
お外に、出られない


empty


事あるごとに浮かぶ単語


抑圧され
湿った、乾いた家に閉じ籠められ
ポリマーで固められている
息が、できない
ここから、出して


明るいもの、光るもの、合成の臭いの、するもの
頭が、くらくらする。
どうしたらいいか、わからない


湿った、冷たい、古いものだけ、近かった
覚えているのは、樟脳のにおい
古い、畳の座敷は、いつもじめりと、湿っていた
縁側の光だけいつも、すこし、光っていた
水仙のにおい、菊のにおい、花粉のにおいはいつも、どぎつかった
外の温かさなど
人の温かさなど、知らなかった
感じたことなど、なかった


私はできの悪い、お人形 
自分が死んだか生きたかすらも、わからない


時計の針が軍隊の隊列のように、聞こえる
動けよ働けよと、私に、迫る
鼓動のない私
針に沿ってしか、動けない



気味の悪い
身体感覚


体をペットボトルに喩えるなら
容器の上方、3センチの空白
頭皮が裂けて、常に流れ出す、記憶
体の一部が、足りていない
脳みそに、空白があるような
生きることの、拒絶
覚えて、いない
覚えてくれない


2年前は、「液漏れ」だった。
打たれ、破られ、傷つけられ、
頭から肩へ、背中へ
ひやり、ひやりと
流れ出す、自分
もう取り戻せない、大切な記憶
今まで記憶には、てらてらと光る、ゼラチンと
上質の油でできたような
精細活動写真が詰まっていた


今では まるで春霞 陽炎のような
輪郭の暈けた餅の皮膚
頼りない、はかない記憶
外に出る度、残される残像
破れた頭皮から取り零した私は、各所に、残存している
私は、丸くない
ちぎれて、漂っている


ひどい、悪化
私は どこ?芯が無い私の体には
景観が入り混じってくる
混ざりものの、私
芯が無い、体温が流れ出す
気づかれたくもない、狂った、人間
死んでしまいたい、くらい
いいえ、死にたくなくても
確かに、死にいっている


二歳のとき、曾祖母が死んだ
火葬場で、泣いてぐずった
人を焼く臭い
頭がおかしくなりそうだった
三歳くらいのとき
漫画を読んで、泣いた
その後暫く、眠れず、泣いた
何故私は、架空の人物に生まれなかったのかと
現実に生きたなら、どうせ醜く老いて死んで、しまうと思っていたから
小さい頃から、よく、食べることも、拒否、していた
生まれた時も、難産だった
嵐だった
泣かなかった
仮死状態だった
死にたがっていた
生来、何か、生きることを拒否したがる体質のなのかもしれない


昨今の葛藤の無いキギョウジンとはいかなるものかは
人の中の暗部
心の闇
苦しみという、ある種正常な感情は?
考えることを、苦悩を
葛藤を 繊細さを無視し
殺し、ぶつけ、押し付けた者だけが
ただ、ただ金だけを、稼いでいる
日本にはもはや
文化が、残っていない
実弾とは
実弾とはそんなに、そんなに偉いものか


ああ、ああ、ああ、
憎らしい
私を狂わせているのは、きっと、嫉妬
死にそうな時放っておかれる


出会っては、いけなかった
足すと105%になる相性
個人のままでは収まりきらない相性
私が欠けたから出会えた
だけど出会って1ヶ月。濃くなりすぎて、チカチカした


メタモルフォーゼ
始まった展開への 声にならない悲鳴
まるで原水爆
濃すぎる接触 禁を犯した
大きすぎる化学反応
世界が狂い始めた
初めて見る世界がいっそ恐ろしかった
反転に、何故か罪の意識
絶望に、狂った


スノードーム
舞踏会
オルゴール
メルヘン童話

世界が狂っていた
世界が均等だった


狂ったように、遊んでいた
狂ったように、踊っていた


マジメにハタラクことしか知らなかった私
独りの想像しか、知らなかった私
踊り疲れて、気絶
永遠に続く舞踏会
回りまわる舞踏会
抜け出せない物語 もはや人ではない
王子様、貴婦人にだって気絶ソファがあるのです
ガラスの靴でも痕がつく
365*24マドモワゼルは無理


いつもそう
終わりのページが早すぎる
先読みが早すぎて、ふと我に返る絶望と恐怖
まだ決めたくない
固定は、世界の終わり
固まりたく、ない
固まりたく、ない


ああ
愛せば愛すほど
離れれば離れるほど、許せない
定家蔓 魂まで染み入って絡みつかねば、赦せない
近くにいた昔 私を差し置いてそんな馬鹿な普通の女を暖めていただなんて
私を抱きしめず 口が外についた女を?


私には、口が無い
考えて、いるから。
彼もまたきっと、口が無いもの同志
考えて、いるから。
愚かだとは思うが、考えて、いるから


きっと本来は、とんでもなく、嗜好の似たもの同士
だけど足してこられなかった私たちには今 交わす言葉が、足りない
ちぎられてきた私には、言葉を返す力が、ない


人が混ざった、現代で
考える者は、引き裂かれる。


嫉妬、憎悪、羨望
いつも冷水をかけられた
惹かれ合ってすら、破き合った
愚かな、人間
精神の、戦争
ずっと思ってきた
経済活動は、現代日本の、戦争


破かれ、引き裂かれ
残った残滓の私は、もう、救われない
もう2度と
日の目を見られぬものか
この傷は、癒えるものか


ぶつけ合い、逸らし合い、破き合い
残った私の今の惨状 まるで片輪
今まであなたと、足してこられなかったせいだわ


残った時間の圧縮は
大地を怒らせ、人を、私の体を引き裂き、時間をきざみ、私は今、コンマに生きることを押し付けられている
弱った体に判断ができず、毎日、毎秒、崩折れる
苦手な、苦手なコンマの世界
陽炎の、毎日


そんな、そんな馬鹿な馬鹿なことで
4年も、5年も、1年も、無駄にしただ、なんて



愚かな
愚かな人間共



声が響くのは、頭の中だけ
顔が、言葉が響くのは、頭の中だけ
運命の神なんて
死んでしまえば


死んでしまえば いいのに