「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹

久々の読書感想。
他にも読んでたけどもう長いこと記録してませんでした。


内容なんて全く知らずに借りたのに、今私が興味あることとドンピシャだった。
3代にわたる家系の女をめぐる、世の中の移り変わりの物語。
戦後から現代まで、人がどう生きようとしてきたかの軌跡をひとつの家族の中に縮図化しています。
おじいちゃんやおばあちゃん、お父さんや、キャリアウーマンの先駆者、挫折したエリート、そしてニートも。彼らがそれぞれの環境の中で、どのように生き方を決めてきたかが描かれてました。
見事なホームドラマの歴史だった。
桜庭一樹ってこんな社会派だったかな?と思うくらい、リアリティと描写力があって興味深かったです。
けど。
最後は不満かな・・・
結局主人公のこれから生きる目標が明確に示されなかった。
それはまあ、未来のことだし、これからがどういう世の中になっていくかなんてわからないのは当然だけど。
こはちょっと勇気を持って主人公がこれからどう生きるかくらい断定しようよ、と。
それがこれからの「正しい」ステレオタイプ像の予測じゃなくてもいいから。


大切なのはただ歴史をなぞり、懐古することではなく、これからを決断することだと思うのです・・・