たった一人の

そろそろたった一人の旅をしなければならない・・・と思う。



・・・一晩二晩一人で過ごしても発狂して死なないだけの精神力と体力が戻ったら。





「自己」と「主体性」の輪郭が揺らいでずっこける病気に罹った今、見知った人の居る空間では、周りの景色に取り込まれすぎて
自分の本質を見失ってしまっているから。



大学2年の春、古い建物が見たくて見たくて
初めての一人旅で、どきどきしながら喜多方の蔵造りの町並みや川縁の土手を自転車で走り回ったことがある。


あの頃みたいな、物の本質に突き刺さって核を抉り出すような眼と
一瞬にして自他の明確な線引きをする距離感覚の鋭敏さを取り戻したい。
それでなければ
憧れたものとの距離を一瞬でゼロにするような精神の力は取り戻せないから。